簡単に設計できるオーダーメイドハンドで生産性が140%向上
プレス成型された部品は吸着面が限られているにもかかわらず、SLGを使用したロボットシステムは高い信頼性でプロセスを実行します。
Lang Metallwarenproduktion Neubrandenburg GmbHの工場長である Jörg Monsig氏は工場の生産性向上に努めています。彼の目標は、競争力を維持し、また社員にとっても働きやすい職場にするために、生産を最適化することです。「私たちは、モダンでインテリジェントな、ネットワーク化された工程をつくりたいと考えています。」とMonsig氏は説明します。2013年には、健康管理システムを導入し、人間工学的な観点からさまざまな作業工程を最適化しました。そして今、スポット溶接システムの組み立てを自動化し、生産性と職場の安全性を向上させることが課題となっています。
Lang Metallwarenproduktion Neubrandenburg GmbHは、長い伝統を誇っています。親会社である Lang und Vertriebs GmbHはミュンヘンに拠点を置き、60年以上にわたってプレス部品や絞り部品の製造と組み立てを行ってきました。同社は1992年、メクレンブルク・フォアポンメルン州南東部の Woldegkにある新しい製造施設に移転し、Lang Metallwarenproduktion Neubrandenburg GmbHを設立しました。現在、約50名の従業員が、主に自動車産業向けのプレス部品を小ロットから大量生産まで製造しています。
明確なハンドリング要件
「単調な手作業はできるだけ削減したいと考えています。」保護柵で仕切られた黄色いロボットを指しながら、Jörg Monsig氏は話します。このロボットは、タレットテーブルから板金部品をピックアップする作業を行っています。半年前までは、作業員がこの作業を行っていました。プレス加工され、成型された部品をスポット溶接機にセットし、自動で供給されるナットを溶接した後、検査も行います。「単調な作業は不良品率が高くなる傾向がある。」と工場長は指摘します。また、1人しか作業できないため、生産量に限界があることも悩みの種でした。
Woldegk社の担当者は、この状況を変えたいと考え、欧州地域開発基金の支援を受け、研究開発プロジェクトを立ち上げました。彼らが求めた自動化の条件について、Monsig氏は次のように話しています。「作業工程はロボットが部品を上から取って分離することだけでしたが、高いサイクルタイムを実現するために、1平方秒当たり5メートルの加速が可能なグリッパーが必要でした。」
機械式グリッパーを使用した方法は、技術的に行き詰まることが判明しました。150 × 150 mm、重さ500 gの薄いプレス加工や曲げ加工された部品を把持しようとすると失敗してしまうのです。空気圧式では、まったく異なる課題に直面することになります。ワーク表面の刻印や穴、3次元形状のため保持できる場所が限られ、また複数の面にわたってしまうのです。「既成のソリューションでは難しいように思えました。」と工場長は語ります。しかし、J. Schmalz GmbHの真空専門家にとってはそうではありませんでした。「Jörg Monsig氏と彼のチームは、シートメタルパーツの特定の形状に合わせたロボットオートメーション用のグリッパーを必要としていました。」と、J. Schmalz GmbHの真空システム事業開発責任者の Florian Fritz氏は振り返ります。オーダーメイド式軽量ハンド SLGは、ユーザーの設計や製造の手間をかけずに、シートメタルパーツに合わせた個別のハンドを生成することができます。曲げ加工されたプレス部品の STLファイルを使用して、Monsig氏はグリッパーをオンラインで設計し、わずか数日後に組み立てることができました。Fritz博士は次のように説明します。Fritz博士は説明します。「ワークやアプリケーションに合わせてカスタムされ、自動設計されたグリッパーを短期間で提供するために、私たちは3Dプリンタを使用しています。積層造形技術は、重量を減らすだけでなく、エア回路をハンド内部に直接組み込むことができます。ホース配管が不要になり、干渉の起きないグリッパーボディを実現します。」ハンドの設計だけでなく、運用コストも重要でした。グリッパーは、ピックアップ時、溶接工程、品質チェック時、そしてワークリリースまで、部品を長時間保持します。「コンパクトエジェクタ SCPSiは、これらの要件を見事に満たしています」Fritz氏はこのように述べています。「エコノズル技術により、SCPSiは圧縮エアの消費を最小限に抑えながら高い吸込量を実現します。また、内蔵されたエアセービング機能により最大で80%の消費エアを削減することができます。」
マテリアルフローの最適化
この新しいシステムにより、同社はマテリアルフローを最適化することができました。従業員が、安全柵の外でロボットや自動溶接機から安全な距離を保ちながら、成型されたプレス部品をタレットテーブルに積み重ねます。ロボットはテーブルから部品を1つずつピックアップし、スポット溶接機に保持させます。ロボットが常に同じ位置から部品を取り出せるように、テーブルが1つずつスタックを持ち上げていきます。溶接ガンが閉まり、自動供給されたナットを抵抗スポット溶接で部品に接合します。ロボットはこの間、部品をしっかりと保持し、カメラの前に誘導してナットの検査を行います。その後、ベルトコンベアに流します。
安全でより効率的なプロセスを実現
Lang Metallwarenproduktion社は、いくつかの点でシュマルツのソリューションの恩恵を受けています。「生産性は140%向上しました。」とJörg Monsig氏は説明します。さらに、プロセスの信頼性も大幅に向上しました。「システムはスムーズに稼働しています。6カ月間で18万個の部品を溶接しましたが、故障は一度もありませんでした。」また、従業員もこのシステムを非常に好意的に受け入れています。「作業環境が明らかに改善され、より安全な作業ができるようになりました。面倒な手作業がなくなり、関係者全員のパフォーマンスが向上しました。これは、人口動態の変化を考慮すると重要な点です。私たちはこのソリューションにとても満足しています。」また、シュマルツのサービスも高く評価されています。「注文からわずか数日後に納品され、システムはすぐに現場に設置されました。その後、私たちはすぐに自動化プロジェクトを進行することができました。」
この自動化ソリューションは、6ヶ月間で18万個の部品の搬送、溶接、検査を実施しました。
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