医薬品と食品の安全な自動包装

グミであれモッツァレラチーズであれ、食品や化学薬品などの不定形のものや液状の品物を、自動的に輸送し店舗で販売するためには、包装する必要があります。箱や袋などの包装材は品物を保護し、漏れや破損を防ぎ、重要な情報を記載するスペースを提供します。さらに包装材は多くの要件を満たし、顧客の満足度すら左右することもあります。近年では、パッケージのトレンドはリサイクル可能、堆肥化可能、プラスチックフリーの材質へと向かっています。さらに、鮮度を示すスマートなパッケージングや個性的なデザインが多くの製品で採用されています。製品の包装は国によって大きく異なり、また日々変化しています。「包装ラインの自動化においては、さまざまな材料を扱うために、機械と自動化ソリューションをより柔軟にする必要があります」と、Schmalz GmbHの営業責任者であるThomas Lichtenbergerは話します。「私たちは、効率性と人間工学を組み合わせた革新的なソリューションを開発しています。これにより、企業は新しいも要件に迅速に対応し、最適な自動化を実現することができます」。

食品業界や医薬品業界では、汎用性の高い包装技術と適切な材料が必要です。シュマルツは、これらの産業における自動化のために特別に開発した様々な真空機器・真空システムを提供しています。品物に直接接触する一次包装、二次包装、エンドオブラインパレタイジング (EOLP) など、シュマルツの真空エキスパートは、あらゆる分野のソリューションで製造工程をサポートします。

人間の手は、複数の形状の物体を正確かつ安全に動かすという点では比類のないものです。新しいフィンガーグリッパー mGripにより、シュマルツは人間の指を模倣し、自動化アプリケーションに利用できるようにします。円形または平行に並んだフィンガーモジュールにより、丸いワークや細長いワークを安全かつ優しく扱うことができます。空気圧で制御される衛生的なデザインのmGripは、把持力を調整するなど、さまざまな品物に適応させることができます。これは、焼き菓子や果物などのデリケートな製品でも非常に敏感に動かすことができることを意味します。これにより、企業は24時間体制で迅速なピッキングを実現できます。

クリーンルームでは、空気純度、異物混入のないこと、そして衛生に関する厳しい要件が適用されます。ハイジェニック真空バランサー PalVac Sprint は、優れた衛生基準を満たし、汚染のない環境で100kgまでの荷物を安全かつ人間工学的に移動させることができます。ステンレスと食品適合材質で作られた表面は清掃が容易で、医薬品、食品、化学薬品業界に最適です。操作も直感的なため、どなたでも簡単に扱うことができます。

耐摩耗性に優れたベローズ真空パッド FSG SI-HDは、医薬品業界や食品業界の自動化アプリケーションに適しています。FDA（米国食品医薬品局）の規格に準拠し、食品に直接触れる工程でも使用可能なシリコーンゴムを採用しています。HDは高耐久仕様の略で、材質は摩耗性の高い素材にも耐え、-30～180℃の温度耐性があります。これは、例えば非常に動的なプロセスにおいて、真空パッドがシリンジ、アンプル、バイアルを安全に把持できることを意味します。「頑丈な材質は耐用年数が長いため、メンテナンス間隔が長いというメリットがあります」とLichtenberger氏は説明します。これは高い生産性を確保するだけでなく、スペアパーツが少なくて済むためコスト削減にも寄与します。

ベローズ真空パッド SPB1 / SPF / SPB2は、パレタイジングやデパレタイジング工程に最適です。これらのパッドは耐用年数が高いことが特長の1つで、一般的なニトリルゴム (NBR) の約3倍の寿命を持つエラストドゥール (ED-65) を材質としています。段ボール箱のような摩耗性の製品にも適しています。吸着面積が大きく効率的なため、高い保持力が得られます。その結果、段ボール箱は迅速、安全かつ正確に搬送できます。袋は、液体やバルク品物を包装する省資源的な方法です。しかし、変形しやすいため吸着しづらく、搬送が困難です。ベローズ真空パッド PSPFは、しなやかで柔らかいシールリップ付きで、しわのある袋に対しても高い追従性を発揮します。特長的な点として、ベローズ部とシールリップは異なる材質を使用しており、両方の材質の利点を1つの真空パッドに集約しています。

このソリューションにより、液体、固体、粉末の入った袋や、充填レベルの低い袋の確実な搬送が可能になります。袋搬送向けグリッパー PSPFは、特にパラレルリンクロボットと組み合わせることで、例えばケース包装やピックアンドプレースアプリケーションにおいて、高速で安定した包装プロセスを確保します。

衛生設計のコンポジットグリッパーSFGにより、シュマルツは食品製品向けの新たなソリューションをラインナップに加えました。コンパクトで軽量なデザインと高吸込量タイプで、非常にダイナミックなプロセスに対応します。主に、焼き菓子のようなデザインワークを自動的に移動させる必要がある場合に使用されます。金属検出可能な種類も利用可能です。新型サックグリッパーPSSG-Xは質量が非常に軽く、紙、プラスチック、織物サックを全自動で搬送します。シュリンク包装された品物を安全に把持します。

衛生的な設計のフローグリッパー SFGにより、シュマルツは食品向けの新たなソリューションをラインアップに加えました。コンパクトで軽量な形状と高い吸込量により、非常にダイナミックなプロセスに対応します。主に、焼き菓子などの通気性があり表面に凹凸のあるワークピースの自動搬送をする場合に使用されます。金属検出器に対応可能なタイプもラインアップしています。新しいサックグリッパー PSSG-Xは、非常に軽量で、紙、プラスチック、織物の袋に対応します。充填率の低い袋物や、シュリンク包装された品物も安全にグリップできます。

真空パッドを真空にするためには、適切な真空発生が必要です。例えば、コンパクトエジェクタ SCPLは、圧縮エアの消費量を抑えながら効率的な真空生成が可能なため、包装品の搬送工程に最適です。段ボールなどの通気性があるワークを、高い吸込量により安定して搬送します。コーティングされた段ボール箱など通気性が低い、またはない品物の場合、オプションのエアセービング機能により、さらに消費エア量を抑えた運用が可能です。大型のハンドシステムや真空グリッパーと組み合わせることで、大規模の搬送システムを実現することも可能です。

と、もうひとつ納得できる特徴がある：シュマルツはバルブ技術と真空モニタリングを機器に統合しました。つまり、作業者は真空システムをコントロールするための外付け型ソリューションを必要としない。「真空スイッチとバルブが直接搭載されているため、多くの自動搬送用真空機器が不要になり、システム上にケーブルが散乱することもありません」とリヒテンベルガーは言う。

そしてもう1つの説得力のある特長は、シュマルツが制御バルブと真空スイッチをデバイスに統合したことです。これは、オペレーターが真空システムを制御するために外部機器を必要としないことを意味します。「真空スイッチとバルブが直接搭載されているため、多くの細かな部品が不要になり、システム上にケーブルが散乱することもありません」とLichtenberger氏は話します。

シュマルツのソリューションは、経済的で安全なプロセスを可能にするだけではありません。同社は開発において持続可能性と資源効率を重視しています。耐用年数が長いため、材料とエネルギーの消費が削減されます。分解が容易なスマート設計により、廃棄時に個々の部品を簡単に分離してそれぞれリサイクルできます。現場の多くのシステムコンサルタントは、豊富な専門知識と詳細な知識で顧客をサポートしています。これにより、パッケージングのあらゆる側面について包括的かつソリューション指向のコンサルティングが可能になります。